生きた時、死んだ時「おめでとう」をください

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背中に羽が生えた、人間では無い生き物が私を見る 「やぁ」 「…」 1人は笑顔で挨拶してくれて、もう1人は無表情で無言 2人の顔は10歳くらいで瓜二つだった 「こんにちは?」 頭にハテナを浮かべながら挨拶を返す 「君を待っていたんだよ」 挨拶をしてくれた子供のような男の子のような声を出す子が言った 「私を?」 ハテナが増える私 「鍵穴」 無表情の子が言う 「ちょっと待ってね。はい、鍵穴」 挨拶の子が無表情の子に鍵穴らしきものを渡した 「ん」 受け取った無表情の子 胸ポケットから鍵を取りだした そして、後ろを振り返り、鍵穴に鍵をセット 空中に刺す動作をした まるで、そこに扉があるように 「来て」 無表情の子が、私に振り返り手を差し出す 「ちょっと、待って。 まだ、彼女が行くとは決まってないよ」 「でも、此処に居るということは、そーゆーこと」 挨拶の子と無表情の子が、なんだか口論しだした 「此処にいても、助かる可能性だってあるでしょ?」 「アレを見たでしょ?それに、彼女は元から私達と同じ世界の住人」 「僕だって待っていたよ。でも、彼女にも権利がある」 「じゃぁ、鍵穴を渡したのは何故」 「僕達の世界を知って欲しかった。 それだけだよ…」 まったく話についていけない 「ハーイ、そこまで!美味しいクッキーをどうぞ」 悪魔が、何処から出したのか袋詰めされたクッキーを渡してきた 「クッキー!」 挨拶の子がパァっと笑顔になる 「…」 無表情の子は、無表情のまま袋を開け食べ始めた 食べるのが早い… 「まずは、状況を教えてあげるのが貴方達の仕事じゃないかしらぁ」 悪魔はクッキーを食べながら言う 「何も伝えず連れてきたの!?」 挨拶の子が声を荒らげる 「連れてきただけよ?私の仕事はそれだけだもの」 悪魔が飛び、宙に浮いてる鍵に触れる 「この扉の向こう側に何があるか。 興味わかない?」 悪魔がクスリと微笑んだ それは、確かに悪魔の笑みだった
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