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「どうしたんでしょうかねえ。ナンバーは外国ナンバーですね。この辺りは大使館もありますから」
運転手がベンツを追い越しルームミラーで追っている。徳田は後ろを見た。小さくなるベンツに人が群がる。徳田には腸に群がる蛆虫に見えた。
「首都高速に入ってもいいですか。20分は早く着けると思います」
「ゆっくり行ってください。ゆっくりと」
徳田はソフトを深く被った。日の出が始まる。運転手が日除けを下げた。徳田が薄眼を開ける。
「また嫌な朝が始まる」
「ええ、終わることはありませんよ」
了
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