どうすればよかったのか、未だにぼくにはわからない

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 数年が経過し、中学生になった僕は以前に住んでいた街に訪れることになった。中学生になって入部した剣道部が運良く中学全国大会(ジュニアインターハイ)へと進むことになり、その全国大会の会場が以前に住んでいた街の体育館だったからである。 試合前に自由時間があったために、僕は懐かしき元・地元を散歩して回っていた。  散歩を続けていると、いつの間にか隣町の住宅街に入っていた。ブランを捨てた公園の近隣の住宅街である。そのうちの一軒の家のコラゾン門扉の向こう側に一匹のスピッツがちょこんと座っていることに気がついた。 「お、スピッツじゃないか。可愛いな」 僕はしゃがみ込み、そのスピッツに目線を合わせた。コラゾン門扉の隙間に手を入れてスピッツの頭を撫でると、尻尾を千切れんばかりに激しく振り始めた。 すると、コラゾン門扉から離れた玄関の扉が開いた。現れたのは一人のおばさんだった。 おばさんは驚いたような顔をしながらスピッツに向かって駆け寄った。 「こらぁ! ビアンコ! また勝手に外に出て!」 僕は立ち上がり、おばさんに向かってペコリと頭を下げた。 「あ、すいません。可愛いスピッツだったので思わず撫でちゃいました」 おばさんは僕の顔を見てクイと小首を傾げた。 「あら、珍しい。ウチのビアンコは物凄く人見知りが激しくて知らない人には懐かないし、吠えるのよ? その割には窓をクイクイって開けて玄関の外でじーっと座ってるのが好きなのよ」 「小型犬らしいですね。ウチで昔飼ってたスピッツも僕ら家族以外には吠え通しで決して他の人には懐きませんでしたよ」 「でも、ウチのビアンコはあなたには懐いてる。私の友達は勿論、息子の友達にも頭撫でようとすると、歯を剥き出しにして吠えるのに。あなた、いい人なのね?」 僕はいい人なんかじゃない。僕がそう思った瞬間、ビアンコと呼ばれたスピッツに何故か懐かしさを覚えてしまった。毛並みや黒い瞳がブランに似ているのだ。 おばさんはビアンコを胸へと抱き上げながら尋ねてきた。
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