どうすればよかったのか、未だにぼくにはわからない

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どうすればよかったのか、未だにぼくにはわからない

 親友が犬を飼い始めた、小型犬のポメラニアンである。名前はロケットで、可愛い外見の割にはとても猛々しい。 僕は親友の家によく遊びに行くために、ロケットと会うことも多い。ロケットが親友の家にお迎えされた当初は敵扱いをされて、キャンキャンキャンと吠えられたものだった。 小型犬は基本、臆病なのか「家族」や「慣れた相手」以外にはよく吠えるとされている。ロケットもその例外ではなかった。 僕もロケットと会う回数が増え、懐いてきたのか吠えられることはなくなった。膝の上に乗ってきたり、手にしがみついて腰を振って交尾の真似事をしてきたり(マウンティング)、脱いで置いておいたジャンパーに小便をしてくる(マウンティングの延長線上のマーキング)ようになってきた。 最近では僕が玄関先に立っただけで、尻尾を振って出迎えに来てくれるようになったぐらいだ。一緒に散歩に行くことも珍しくなくなっていた。 いつしか、僕はロケットを「可愛い」と思うようになり、一つの思いが芽生えてきた。 犬を飼いたいと思い始めてきたのである。 平たく言えば、親友が飼っている(ロケット)の影響を受けて、犬が欲しくなったのだ。  両親にこの話をしたところ、渋い顔をされてしまった。「世話が大変」だとか「死ぬと悲しい」などと言った犬を飼うことを拒否するための常套句を並び立てて僕に諦めさせようと説得を行ってきた。 しかし、僕の気持ちは変わることはなかった。「毎日散歩する」「毛の掃除もちゃんとやる」「一人っ子で寂しい」などと犬が欲しいと強請る子供が宣う常套句を並び立てて犬を飼うように説得を行ったのである。 やがて、両親は根負けしたのか「いいよ」と頷いた。 僕はその場から飛び上がる程に喜んだ。
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