1、偽りの初夜

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1、偽りの初夜

「……股を開いてもらえる?」 「えっ?」 「開かないと()れられないから」 「あっ、はい……」  ――自分で開くなんて恥ずかしいけれど……そうするものなんだよね。  そうだ、夫婦なのに恥ずかしがっているのはおかしい。そう考え花保は覚悟を決めた。  その直後、いきなりズン! と正志が挿入(はい)ってくる。 「痛いっ! あっ、やぁっ!」 「キツっ……なるべく力を抜いて。最初に痛いのは仕方がないんだ」 「はい……っ」  処女喪失の激痛に耐えている花保を尻目に正志はひたすら腰を振っている。  別荘の寝室には正志が洩らす「はっ、はっ」という荒い呼吸とベッドが軋む音だけが響き渡っていた。  ――ナカが擦れて凄く痛い……いったいいつになったら終わるんだろう。  そう考えたところで花保はフルフルと首を横に振る。  今日は入籍してはじめての夜。夫婦になったばかりだというのにこんなことを考えてはいけないと、花保は顔をしかめつつも必死に耐えた。 「もう……イキそうだ」  ずっと無言だった正志が小さく呻きを洩らす。  ――よかった、正志さんが気持ちよくなってくれたんだ。私達はこれで本当の夫婦に……。  花保がほっとしたその瞬間。 「はっ、イクっ……イクよっ……しょうこ!」  ――えっ!?  はじめての夜、ベッドの上で花保を貫きながら夫が叫んだのは、知らない女性の名前だった。
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