7、狂愛

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「花保の資産目当てじゃないだろうな」 「貯金ならあります」 「仕事は?」 「……小説家です」  そこではじめて和人が「えっ?」と言葉を詰まらせた。 「小説家って……趣味じゃなくてプロなのか?」 「プロです。間宮ほのかというペンネームで何冊か本を出させていただいています」 「えっ、間宮?」 「はい。連載中のものも含め再来年まで依頼が埋まっているし印税がありますので、金銭面で彼女に苦労をかけることはありません。じつは映画化のオファーも……」 「ちょっと待て!」  怜士の説明を和人の声が遮った。 「間宮ほのかって、女じゃなかったのか!?」 「すみません。驚かれたでしょうが俺なんです」 「俺、めちゃくちゃファンなんだけど!」  そこで花保は思い出す。  そういえば、元々花保が『間宮ほのか』の作品を読みはじめたきっかけは兄に勧められたことからだった。  ――『絶対に間宮ほのかは美人に違いない!』だなんて言っていたけれど……。 「俺、二十代後半の女流作家をイメージしてたんだよ」 「すみません、二十代後半のムサい男です」 「いや、ムサくはないが、う〜ん」  和人はしばし腕を組んで考え込んでいたが、カッと目を見開きこう告げた。 「わかった。おまえたちは一旦離れろ。接近禁止だ」  ――えっ!?  交際を許容する流れだと思っていたら、一転反対されてしまった。  花保がまだ離婚もしていないことを考えれば仕方がないとは思うが、近寄ることもできないとは……。
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