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「……おまえ、それは……」
「私は何度戻っても、孝史さんを変えることが出来なかった。何度やり直しても、結局はこうなってしまうの」
「どういう事だ……」
「私は孝史さんに告白されるずっと前から、孝史さんが好きだった。皆に優しくて、誰にでも平等に人に接することの出来る孝史さんが、私には輝いて見えていたの」
「おまえ……まさか……そんな、嘘だろう……」
「いつかまたあの頃の孝史さんに会えたらって、願い続けた私が馬鹿だった……これでもう、終わりにしましょ」
「聖子!」
聖子は小瓶の蓋を開け、逆さまにする気だろう。それに気付いた私はとっさにその腕を掴もうとした。今の私は、聖子そのものを愛している訳ではない。聖子は、成功した私の人生の象徴のような存在なのだ。もしも失ってしまったら、私の積み上げて来たメンツが丸潰れだ。
「しまった!」
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