駅蕎麦の末路

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寒い朝、暑い夏の朝を問わず、鰹出汁の効いた熱い汁を啜ると堪らず「うまい」と声を漏らしそうになる。それも、毎度毎度だ。  朝も昼も、おそらくパートでなのだろうか? 私が通い始めた頃から女性が受付も提供も担当している。昔はまだ髪に黒いものの方が多かったが、今では黒い部分を探すのが難しいほどに容姿は老け込んでしまったが、動きは昔からちっとも変わっていない。この女性は客と最小限の会話のやり取りしかしない為、長年通っているが彼女の名前すら、私は知らない。  その朝。いつも通りに立ち食い蕎麦屋へ寄ると、店の小さな入り口で大きな貼り紙が微かに風に揺れていた。
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