約束の人

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約束の人

「“約束の人”ですか? 運命の人じゃなくて?」 「僕は“運命”って言葉が、好きじゃないんだ。 誰かに決められて、変えられない、 みたいに感じるから。 いつかは分からないけど、前世とかに、 “また、必ず出逢って一緒に過ごそう”と約束した人がいるって信じてる。 その人と出会うのを待ってたし、 探してた、と思ってる。 友だちはたくさんいたよ。 告白も結構されたし。 でも、仲間として楽しく過ごすことは出来ても、心がトキメク人はいなかった。 でも、さっき君を見つけて、 胸が高鳴って、 締め付けられるような感覚がしたんだ。」 「こういう時、なんて言ったらいいかわからないんだけど…。 私も勉強も忙しいし、就職活動とかもこれからあるし、お兄さんも…、波木さんもお仕事が大変そうだし。 会う時間も中々取れないと思うの。 でも、これきりじゃなくて、またお話ししたいし、会いたいし、なんて言うべきなのかしら?」 「付き合おう。 会えなくても携帯もあるし、 電話で話せなくてもメッセージすればいい。 違う?」 「そうね。 会う時間は取れなくても、 繋がる方法はたくさんあるものね。 私、こういう事に慣れないから、 我が儘言ったり、淋しがったりするかもしれないけど、 それでもいいですか?」 「僕だって、歳はくってるけど慣れてないのは一緒だよ。 気持ちがすれ違ってケンカになることもあるかもしれないけど、 少しづつお互いのことを知っていこう。」 連絡先を交換し合って、 ふたりはその日から恋人になった。 おわり
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