第2話 “白の魔法使い”と“黒の魔法使い”

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 それと同じことが、闇の魔法についても、謂われるようになったということだ。    *  闇の魔法を恐れる人間たちは、口々に唱え始めた。 「闇の魔法なんか、いらない。闇の魔法を抹殺せよ。闇の魔法を使う黒の魔法使いは、いらない。黒の魔法使いを葬り去れ!」  こうして黒の魔法使いは、人類の敵とみなされるようになった。  白の魔法使いは、初めの頃こそ、黒の魔法使いに対して、同情していた。 「黒の魔法使いも不憫なものだ。彼らは悪を懲らしめるために、その魔法を使っているだけなのに……」 「だが、それでは“正義の味方”というわけにはならん。悪人を魔法によって懲らしめるのは、私刑(リンチ)と何ら変わらんではないか」 「悪事を働いたものは、裁判によってきちんと裁かれ、法の下で刑罰を受けねばならんのだ」  こうして白の魔法使いたちも、世論に同調する形で、黒の魔法使いを敵視するようになっていった。  黒の魔法使いは、社会からは、いつしか追われる立場へと変わっていった。  彼らは、自分たちをあくまでも“正義”の執行者として位置付けていた。
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