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ミドリが年の割にしっかりしているのは、姉としてこの弟の面倒を見て来たせいかもしれないと、ケイトは感じた。
「あんた、朝吹さんにちゃんと挨拶しなさい」
「こんにちは」
「あ、こ、こんにちは」
サトシがきちんと目を合わせて挨拶してきたので、ケイトの方が赤くなった。
「サトシったら、ケイトを見て赤くなったりして、もう色気づいてるのかしら」
サトシも赤くなっていたということを、自分の方が先に俯いてしまって、ケイトは気づかなかった。
「汚い部屋だけど、どうぞ」
ミドリの家の乾物屋は二階建てで、一階が店になっていて、二階にはミドリとサトシの部屋があった。
汚いとミドリは謙遜したが、畳敷きの4畳半は、掃除が行き届き、男の子の部屋のようにきちんと整理されていた。
机の隣にあった本棚には、ケイトが読んだことのないような小説の文庫本がいっぱいあった。
ケイトの部屋にあるような、ぬいぐるみだとか、アクセサリーやポスターなど、女の子らしいグッズはほとんどなかった。
ミドリの部屋の窓からは、ケイトの住む45階建て高層マンションの上階部分が望めた。
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