第3話 “魔女”と“魔法少女”(その2)

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 多少強がりでそう言ってしまって、13歳のときの誕生日にテーブルの上に本当にバースデーケーキが用意されていなかったのを見て、ケイトは少しだけショックだった。 「あら? バースデーケーキはもういらなくていいのよね?」  ママは、体にいいからと言って飲み始めた赤ワインのグラスを傾けながら、リビングルームに顔を出したケイトに向かってそう告げた。    誕生祝いとか、もう子供じゃないんだからと思いながら、いざバーデーケーキがなくなると、それはそれで寂しいと感じたり、自分はなんて我がままなんだろうと、ケイトは思った。  そして、今年の誕生日は、ケーキだけなく、両親もいない。  7時までに両親が帰らないときは、ピザとかドリアとか、冷蔵庫に入っている冷凍食品をレンジで温めて食べることが“朝吹家”の取り決めとなっている。  父は最近仕事が忙しくて徹夜が多く、母も深夜過ぎでないと帰らないことも多い。  ケイトは、凍ったラザニアをレンジに入れて、レンジのタイマーをセットした。  そして、誰もいないリビングで、久しぶりにミトンを取り出して眺めてみた。
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