第3話 “魔女”と“魔法少女”(その2)

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 昨年までぴったりだった手袋は、何度か洗って縮んだせいも多少はあるけれど、自分の手が大きくなったのか、サイズが合わなくなってきている。  ミトンから少しはみ出した手のひらを眺めて、クスクス笑っていると、ベランダに面したガラス戸が「コンコン」と音を立てて鳴ったので、ケイトは、ドキッとした。  気のせいかと思って、カーテンが引かれたガラス戸の方を振り向くと、再び「コンコン」と音がした。  誰かがガラスをノックしているような音だ。 「ねえ、ちょっとこの扉、開けてちょうだい」  くぐもった女性の声がした。  ケイトは、すぐさま“泥棒だ”と思ったが、すぐに思い直した。 (女性の泥棒? だって、ここは高層マンションの40階よ?  どうやってここまで登ってきたの?) 「ねえ、お願い。ちょっと、あなた、アサブキ・ケイトちゃんでしょう?」  自分の名前を呼ぶ女性の声が、カーテンの向こうから聞こえた。 「大丈夫、私は怪しいものじゃありませんよ」  ケイトは恐る恐る、カーテンが引かれたガラス戸の方に近づいて行った。  カーテンをそっと開けると、そこには黒づくめの女性の姿があった。
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