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第4話 “魔女”と“魔法少女”(その3)
「はじめまして、ケイト。私の名前はエミ。職業は魔法使いでーす」
ケイトがサッシの鍵を外してあげると、黒づくめの女性は扉を開けて中に入ってきた。
リビングの中をきょろきょろと見回してから、おもむろに自己紹介を始めた。
「魔法使いってことは、魔女ってことですか?」
ケイトは、その女性の年齢がどれぐらいなのか、まったく見当がつかなかった。
ケイトからすると、お姉さんと呼ぶには、もっと年上のような気もするし、“おばさん”と呼んでは失礼な気もしたので、敢えて呼ぶことを避けることにした。
「うーん。魔女って言い方は、本当は好きじゃないのよね。でも、まあ、魔女には違いないけどね」
エミと名乗ったその人は、拳を顎に乗せて悩んでいるような、わざとらしいポーズを取った。
「あ、ごめんごめん。あなたのご両親が帰って来ないうちに本題に入るわね」
エミの恰好は、黒づくめだけれど、魔法使いとか、魔女というよりも、丸の内に勤めるオフィスレディのような出で立ちだった。
黒い襟付きのスーツで、下はタイトなスカート。履いているのは、やや踵の高いパンプス。黒い髪はかなり長く、後ろに一本でまとめている。
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