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エミは、背負っていたリュック型の鞄を下し、様々な“もの”を取り出してリビングのテーブルの上に並べた。
口紅、コンパクト、アイブロウ、ヘアブラシ? ……。
「あれ、あれ?」
ケイトはエミがバックから取り出すものを、不安気に眺めた。
「ちょっと待っててね。どこいっちゃったのかな? さっきの戦闘で落としたとか、ないわよね」
「えーと、何を探しているんですか?」
「あった、あった! これこれ」
エミが取り出したのは、ティーセットに付いてくる、ケーキとかを食べるときに使う小さなデザートフォークに見えた。
(まさか、お誕生日なので、これからケーキでも食べるのかな?)
「コホン、では、参ります」
わざとらしい咳払いを一つすると、エミは取り出したデザートフォークを片手で胸の前に翳し、「エイ!」と気合を入れて左右に振った。
すると、小さなデザートフォークは、巨大なフォークに“変身”した。
テレビの“魔法もの”とかでよく見るような煙こそ出なかったが、これは確かに“魔法”だ。
「どう? びっくりした?」
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