第2話 “白の魔法使い”と“黒の魔法使い”

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第2話 “白の魔法使い”と“黒の魔法使い”

◇◇◇  かつてこの世界には、“白の魔法使い”と“黒の魔法使い”の大きな二つの勢力があった。  白い魔法使いは、別名『光の魔法使い』といわれ、黒い魔法使いは、別名『闇の魔法使い』といわれていた。  白の魔法使いは、その魔法の力によって、人々を癒し、幸福を齎す存在として知られていた。  一方、黒の魔法使いは、暗黒魔法を駆使し、悪を懲らしめる存在として、人々から恐れられていた。  白の魔法使いと黒の魔法使いは、長きに亘り、互いにその領域を犯すことなく、尊敬しあうことで、共存していた。  ところが、世間の人々は、暗黒魔法を駆使して人間たちに“罰”を与える黒の魔法使いの存在を疎ましいと感じるようになった。  人間たちが悪を行うことがなければ、彼らが敢えてその魔法を使うことはないのだが、そうした魔法の存在自体が、人間にとって、不要であると考え始めたのである。  現代でも、抑止力としての核兵器が必要であるか、不要であるか、その意見は識者の間でも分かれるところだが、多くの良識ある人間の意見としては、核が不要と考える方が正しいとされる。
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