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エミはフォークを杖のようにして小脇に携え、得意げな顔をしてみせた。
「凄いです。本物の魔法を見るのは初めてなので……」
ケイトは素直に驚いていた。
「でもねえ、この魔法、物体を巨大化させるって、実はかなり上級の凄い魔法なんだけど、素人の皆さんは、あまり驚いてくれないのよねえ」
「で、次はどうするんですか?」
「え?」
ケイトが期待を込めて尋ねると、エミがぽかんとした顔をした。
「次って? これだけよ?」
「……? そのフォークで」
「ああ、これは、デモンストレーション」
エミはフォークを元の大きさに戻すと、鞄の中に仕舞い込んだ。
ケイトは、巨大化させたそのフォークを使って、自分を魔法少女にしてくれる何らかの“儀式”を行うものとばかり思っていた。
「これからが本番よ」
エミは何も持っていない右手の掌を広げると、ケイトの前に翳した。
すると、手のひらの少し先の空間に、青白い小さな魔法陣が現れた。
「はっ!」と再び気合いを入れて開いた手のひらをグーの形に握ると、握ったその拳の中に、長さ50センチぐらいのステッキが現れた。
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