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ケイトは、その様子に思わず、一歩、二歩と後退った。
(こっちの方が凄い!)
正直言って、デザートフォークを巨大化して見せたよりも、遥かに凄かった。先ほどのデモンストレーションは一体なんだったのか、よくわからなかった。
「はい、これ」
現れたステッキを、エミは無造作にケイトの方に差し出した。
差し出されたケイトは、反射的にそれを受け取った。
「それ使ってね」
「これ? どう使うんですか?」
「使い方は簡単よ、自分のイメージした“魔法”を頭に念じて、そのマジック・ワンドを振るだけ」
「マジック・ワンド?」
「そうそう、“魔法の杖”って意味ね」
「頭に念じるだけでいいんですか?」
「基本的にはそうよ」
「それだけなんですか?」
「うん?」
「魔法少女になるための何か儀式とかはいらないんですか?」
「ふっ、ふっ、ふー」
エミはわざとらしく、笑って見せた。
「実はねえ、その杖が受け取れた時点で、あなたはもうすでに魔法少女として、合格してるのよ」
「どういうことですか?」
「その杖の“実体”は、ここにはないのよ」
「え?」
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