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世間から追われようとも、闇の魔法を後世に残し、正しい用い方を伝えていくことが己の使命であると、考えた。
こうして、白の魔法は、“表の魔法使い”となり、黒の魔法使いは、世間から忌み嫌われる“裏の魔法使い”となったのである。
◇◇◇
“純白の魔女”シズカは、“漆黒の魔女”エミの攻撃を寸でで、躱(かわ)した。
今の攻撃を諸(もろ)に受けていたら、シズカとて危なかったに違いない。
「その技はさすがに卑怯じゃないの?」
「何をおっしゃるの。私たちの闘いに卑怯もクソもないでしょう?」
「なんと、下品な!」
「あら、御免なさい。クソは言い過ぎだったわね。へったくれと訂正しとくわ」
「言葉はともかく、あなたの今の技は、相手を“消す”魔法でしょう? それを使っていいのは、相手が悪人のときだけじゃなかったの?」
「そうね、私たち“黒の魔女”のポリシーとしてはそうだけど、今は、大事な“決戦”の時だし、そうも言ってられないのよね」
エミは、相手を小馬鹿にするかのように、拳で顎を支えるポーズで腕を組み、困ったような顔を少し傾げてみせた。
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