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エミはマントに突き刺さった針を自分の持っていた黒のマジック・ワンドで振り払うと、衣服に刺さった数本をゆっくりと抜いた。
「この針、まさか、毒とか付いてないでしょうね?」
「あなたたち黒の魔女じゃないんだから、毒なんて使わないわよ」
「まあ、失礼ね。私たちだって、滅多に毒なんか使わないわよ」
エミは針を抜き終えると、マントをさっと肩の後ろ側に回してシズカに向き直った。
「ところで、これがあなたの奥の手かしら? 嫌がらせにはなるけど、決定打とまではいかないわね」
実のところ、シズカとしてはこれが決定打のつもりだった。
キラ星は攻撃時は針のように固体化して飛んでいき、相手に突き刺さったあとは、再びエネルギー化して炸裂するはずだった。
ところがなぜか、エネルギー化せず、針のように固体化したままだったのだ。
(おかしいわ……)
「ふふ、何で“爆発”しないんだろうって、顔してるわね」
エミがシズカが抱いている疑問を言い当てた。
「私の“魔法”で、針のままにしておいたのよ」
エミとしては、白の魔法も、あらかた研究済みだった。
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