1人が本棚に入れています
本棚に追加
第3話 “魔女”と“魔法少女”(その2)
ケイトは、自宅のある高層マンションに辿り着くと、ちょっと憂鬱な思いを抱えながら、エレベーターのボタンを押して扉が開くのを待っていた。
ケイトの家族がこのタワーマンションに引っ越してきたのは、ケイトが中学生に入学したときのことだ。
父は建築士で、自分で設計した家に住むのが夢だが、まだその夢は叶っていなかった。
母は服飾デザイナーだが、アパレルメーカーに勤めており、名前が売れているわけではない。
彼女の夢は、いつか独立して、自分のブランドを立ち上げることだ。
ケイトは、そんな両親を誇りに思うし、尊敬してはいたものの、いつも忙しく立ち働いて家を空けることも多く、寂しく思うことも多かった。
小学校を卒業するまでは、父方の祖父母とともに、二世帯住宅で暮らしていたが、ケイトが中学に入学するのをきかっけに、祖父母と離れて暮らしたいと、母が言い出すようになった。
祖父母との別居を決めたとき、祖母が病で入院し、祖父一人では広すぎる家を処分することに決めた。
最初のコメントを投稿しよう!