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過去
彼は、笑いながら話した。昔のことだ、だから、笑いながら話した方が面白い、と。
彼は、親からの、暴力、暴言、彼は欠陥品だ、と。両親の喧嘩も酷く。勉強もまともにできなかったようで。
学校でも、いじめられて、詳しくは教えてくれなかった、思い出したくないと。でも、一つだけ、教えてくれた。海が怖い理由は、両親と、いじめっ子が原因だ、と。
彼は、両親の喧嘩を聞いていた。彼は、もともと、医者になれと言われていた。そんな両親の喧嘩は酷くなり、遂に、母親の方が、殺しちゃったんだって、その時母親はこう言ったらしい
「貴方なら、私を助けてくれるよね?、貴方がいたら、安心よね、?私、何も悪くないよね?悪くない、でしょ?、見つめてないで、答えろよ、」
母親は、父の死体を、海に、流した。
彼は、それに同行した。
彼は、父親の死体をみて、『なんか、綺麗だな』って、思ってしまったって、駄目なのにって考えれば考えるほど、海が怖いらしい。
母親が父親を殺したのはすぐにバレて、親は逮捕、殺人の子供だからと、学校での虐めはエスカレート。彼は死のうとしていたらしい。
「それで、そこに君がいたんだ、乃音。」
そう、彼はここまで頑張って生きて、学校に行っていたのに、私みたいな、、私みたいな、彼よりも、欠陥品な、私を、私を、救おうとしてくれた。
「何故?」
「何が」
「なんで、私を、止めたの」
「死ねないから」
「じゃぁ、貴方もじゃない?」
「確かに、俺、いいや、私は、死にたくないんだよ」
「ねぇ、名前は?」
「私は、夕陽」
「女の子?」
「いいや、男だよ」
「じゃぁ、なんで私なの?」
「そう、だね、なんとなく、かな、?」
と、途切れ途切れに答える。
「…ぁっ、」
喋ろうと思った声が途切れた、なんでなのだろう。言ってはいけない気がする。彼を壊してまう気がする
「海、綺麗ですね」
「あは、そうだね」
「帰ります?」
「暇になってきたしね」
私、わたしは、
そんな彼が好きだ。
『………話すんじゃなかった。あーあ、折角、隠せてたのに。』
彼は、毎日楽しそうだった、暗い顔をせずにいた。私は彼が唯一の話相手だった、そんな彼が今日はいない。仕事があるらしいのだ。彼がいない日は退屈な日だ。
寝ようかな。そう考えた矢先、お母さんの声が下の部屋から聞こえた。
「乃音!貴方に会いたいって人が来てるわよー!」
誰だろうか、私は重い足取りで、玄関に向かった。
そこには、あいつ、
「山口…さん?なんで…」
「なんでって、少し外で話しましょう」
…行っていいのか?大丈夫なのか…
今日彼はいない、彼はいないからこそ頑張るべきなのだろうが、わたしは彼に守られすぎた。わたしには、何もできない。ついて行くしかない。断れない。
「わかった」
といい、彼女と外に出た。
「…あ。あの…、なんで、来たんですか…?」
「それはね、貴方、よく男の人といるよね?誰?イケメンだね?付き合ってんだったらあんたなんか不釣り合い。付き合ってなかったら。私に紹介してくれない?」
は…?夕陽さんのこと?
なんて返そう。
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