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朝起きて学校に行き、教室の自分の机に見知らぬノートが入っていましたので、開いてみました。
自分と違う読みやすいお手本のような字が書かれていました、夢じゃないことが確定いたしましたので、窓際の一番後ろの席に座り、余裕綽々な笑みを浮かべる足の長すぎる男に渾身の胡乱顔を曝しておきました。
後悔はありません。
そして今読んだらテストの前に無駄な労力を使ってしまうことは明白だったので、机の中に仕舞いました。
テストが終わる頃には異世界にノートだけ飛んでいっていることを切に望みます。
つーか、何?
交換日記とかすんの?
ひょっとして俺昨日付き合うってゆっちゃったりした?
嫌言ってないよね?ね?昨日の俺。
いっぱいいっぱいすぎて憶えてないけど俺もしかして否定も肯定もしてなかったりする?
えー、なにそれー。
あれだ、百九十イケメンの圧が凄すぎて、あれだよ、パニックなったよねー。
わかる、わかる、昨日の俺そんなに悪くないよ。
うん、そんなに悪くない。
ちゃんと家帰って飯食ってぐっすり寝たもん。
だって顔整いすぎだろ。
目も鼻も口も眉も何であんなにはっきりしてんの?
カブキ?
あいつぼやけた所一か所もないよ。
全部のパーツで二百点叩き出してるじゃん。
ふふふってふふふって笑うんだ、あの顔でッ!!
何という罪人。
人類史に残る罪と罰。
しかしまあ顔が良すぎるな。
あれでせめて頭が悪かったらって、嫌違うな。
多少頭が悪かろうがそんなん全部チャラになるよ。
何したって許してもらえるよ、あの顔と身長だもん。
俺が付き合うのは絶対有り得ないけど、誰かと一日だけ顔交換できるなら俺あいつと顔交換するし。
そしたら何しようかな。
取りあえず歩くな、電車も乗る。
あんだけ足長いと階段一気に登れそうじゃね?
嫌、顔どうでもいいから百九十センチから見える世界を見てみたいよな。
いいよなー、背高いって。
足長ぇ、顔ちいせぇ。
それなのに、俺が好きって、どうかしてるだろ。
あれ、違うな。
俺が好きなんじゃなくて、前世で夫婦だったから付き合ってだったよな?
じゃあ、それは俺じゃなくない?
イスケじゃない?
じゃあ俺気にすることなくない?
だって俺イスケじゃないもん。
問題解決じゃん、良かったー。
でも俺何で信じちゃってんだろ?
やっぱり顔だよな。
顔に説得力があるからだよ。
信用ともいう。
信頼に値する顔、顔。
火星から来たって言われても信じるし、実は二万年生きてますって言われても信じる、明日地球終わるよって言われても、あぁそうかもなぁって思う。
あいつの存在そのものが真実って感じなんだ。
虚構のように設定盛ってるくせに、現実から不思議なほど離れていない。
齟齬がない。
実在を疑ったりしない、いるんだ、確実にいるんだ。
いかんいかん。
あいつのことばかり考えている。
昨日美形オーラを浴びすぎたせいか。
非凡の集中砲火、凡人にはキツイ。
自宅に帰って家族の平凡オーラを浴びて見事に抜けたはずなのに。
テストに集中しろ、俺。
そうだ、期末テスト悪かったら全部あいつのせいにしてやろ。
当然だ。
平和を愛するクラスメイトを思考不能に至らせた罪は重いんだ。
責任を、いえ、取らなくていいです。
テストの点が悪かったとしてもそれは俺がテスト勉強に勤しまなかったからですので、どうかお気になさらないで下さい。
神様。
どうか、万人の望む展開に軌道修正してください。
今はそれと世界平和しか望みません。
あと、トルーマンドクトリンの外交政策はマーシャルプランでOKですよね?
頑張ります。
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