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「ここかぁ~!」
三年間の自由を許したとはいえ、大事な愛娘を傷つけるわけにはいかない。
瑠璃の父はセキュリティの固いタワーマンションの一室を用意した。物件選びは瑠璃の意見も多少入っており、大豪邸にならずタワーマンションにとどまった。
「(学校が始まる前に荷造り解かなきゃ……)」
次々と荷物を手に取り仕舞っていく。荷物が残り1つになったところで部屋にある時計が12時を知らせる。
「(もうこんな時間!お腹すいたな~)」
一応ここの地形は実家で確認してきたため、近くのスーパーくらい一人で行けるだろ。と思い、足を運んだ。
「…………あれここどこ?」
ヤクザの頭の一人娘。故に一人で出かけるという経験がほとんどなかった。
なので、本人は全く気付いてないのである。自分が方向音痴だと。
進めば進む程ここがどこだか分からなくなってくる。棒立ちになっている瑠璃
に二つの影が近づく。
「なぁなぁそこのおねぇちゃん?」
「今暇ぁ?俺らと茶でもしばきに行かへん?♡」
俗に言う、ナンパだ。しかし世間知らずな女、瑠璃は自分がナンパされているということに全く気付いていない。
「…あのここのスーパーマーケットまで行きたいんですけど、道を教えていた
だけませんか?」
とりあえず、自分の要件を言ってみる。
「スーパー?そんなとこ行かんでええやん~」
「せやせや!俺らが金払ったるさかい」
一瞬ような顔をしたものの、すぐに本調子をとり戻し、瑠璃に迫る。
その後ああ言えばこう言うの繰り返しで、それはもういこの男達について行ってしまおうかと思ってしまうほどだった。
「……なぁもうはよ行こや」
「もう待ちくたびれとんねんて」
苛立った様子で片方の男が瑠璃の腕を引っ張る。
「…っ痛……やめてください」
初めての経験に体がこわばり、今にも消え入りそうな声でつぶやく。
「自分ら俺の女になにしてるん?」
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