26人が本棚に入れています
本棚に追加
/93ページ
「あの頃は、あんまり恋愛に興味がなくて……。七咲君は、中1の時から彼女がいたよね」
「まあね。まさかの清宮先輩から、入学してすぐにコクられちゃったから。あの人のラブコールを断るなんて、俺らの中学では許されない行為だったじゃん?」
1学年上の清宮美玲。
学校のマドンナ的存在で、下級生・同級生・上級生、すべての男子の憧れの的だった。
さらに、兄が二人いて、どちらも地元では伝説的なヤンキー。
そんな清宮先輩からの告白を断るのは、いくら七咲君でも難しかっただろう。
――っていうことはっ?
「もしかして、七咲君は嫌々付き合ったのっ?」
一縷の望みをかけて、そんな質問をしてみた。
今更、清宮先輩と付き合った時の心境など知っても意味はない。
それはわかっているけど、どうしても気になった。
もし嫌々付き合っていたのなら、あの頃の私の切ない気持ちが、少しは救済されるような気がした。
最初のコメントを投稿しよう!