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「とりあえずお前は、早く自分の部屋へ行け。この廊下の突き当りを右に曲がった先にあるのがお前の寝室だ」
「あ、う、うん」
異質な空間と展開に圧倒され、ついつい霧島尊流の指示通りに動いてしまう私。
慌てて靴を脱ぎ、手荷物を片手に指定された部屋へと急いだ。
「何これ……。ただ寝るだけの部屋で、こんな広さ、いる?」
寝室へ入ると、まずその広さに圧倒された。
軽く15畳はある。
私と寧音が住んでいた家は一応2LDKだったけれど、どちらも5畳の部屋。いきなり3倍の広さになるなんて……。
部屋の右奥にはキングサイズと思しき豪華なベッドが置いてあり、左奥には大きなドレッサーが設置されている。
その他にも、これまでの人生で見たことのないオシャレな間接照明や観葉植物などがところどころに配置されていた。
とりあえず、ベッドに腰掛けてみる。
――快適。
即座にそう感じてしまうほど、座り心地がよかった。
こんなベッドで寝てしまったら、二度と起き上がれないかもしれない。
それからひとしきり室内を眺めつつ、寧音のことを考える。
無事にアルバイトの先輩と一緒に住めることになって、本当に良かった。
寧音のバイトは飲食店で、一緒に住む予定の先輩は21歳の女性。
一人暮らしをするためにアルバイトでお金を貯めているとのことなので、「じゃあまずは私の家で一人暮らしの予行練習をしませんか? ちなみに家賃はタダですよ」と寧音が誘ったら、食い気味でOKしたらしい。
そりゃそうだろう。家賃タダはキラーワードすぎる。
私も何度か会ったことがあるけれど、浮ついていない真面目そうな人だった。
料理も得意だと聞いているので、寧音の食事面も心配ないだろう。
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