【第7話】

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「よし、理解できたんなら、次はこの家のことについてだ。――6LDKってことは伝えてあるよな?」 「あ、うん」 「お前は、2部屋を自由に使っていい。この寝室の隣りにある部屋もお前のものだ。元の家にあった荷物が後ほど届くだろうから、好きに突っ込んでおけ」 「あ、は、はい」思わず敬語で返してしまう。 「残りの4部屋については、俺が2部屋、泊まり込みの家政婦が1部屋、滝沢が1部屋だ。滝沢は、泊まることもあれば帰ることもある。家政婦の園田さんは、今部屋で休んでいるから、あとで挨拶に行っておけ。わかったな」 「ラ、ラジャー」固い表情のまま、思わず変な返し方をしてしまう。 「なんだそれ? おかしな奴だな」  そしてきっちりツッコまれてしまった。 「とにかく、今日から俺とお前はこの家で一緒に暮らす。事前に伝えた通り、家事は家政婦である園田さんがこなすし、雑務は滝沢がこなすから、お前は政略結婚を阻止するための行動に付き合うだけでいい」 「でも、明日は一緒に服を買いに行くって……」 「だから、それは政略結婚阻止に関係あるだろ。俺の横を歩くのにふさわしい格好をしてないと怪しまれる。そういうことだ。わかったな」 「ア、アイアイサー」もはや、自分で自分を見失い始めている。  すると、霧島尊流は急に表情を曇らせた。
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