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「とにかく今日は、表参道でお前の服や靴、アクセサリー、化粧品などを揃える。お前の好みも考慮するが、基本的には俺と滝沢で選ぶから、そのつもりでいろ」
「は? 何それ。私に選ばせてくれないの?」
「だから、意見は考慮すると言ってるだろ」
「考慮って……。つまり、好きには選べないってことじゃない!」
「まあな」
「私、嫌だからね! 胸元ざっくり、みたいな服なんて!」
「そんな服を買う予定などない。そもそもお前に、胸元なんて言えるほど立派なもんが付いてるのか?」
反射的に、自分の胸を見る。
知ってはいたが、そこには、お世辞にも立派とはいえない、頼りない隆起があるだけだった。
でもこれは、貧乏で栄養があんまり摂れてなかったからだ! ……と言い訳したいところだけど、妹の寧音は疑う余地のない巨乳だ。
成長ホルモンは、時として栄養状態を無視した働きをすることがあるお茶目なホルモンだと思っている。
「Bカップってところか。当たってるだろ?」
突如、普段買っているブラのサイズを告げられた。
――いや、っていうか、なんで知ってるのこいつっ?
「まさか、調べたのっ?」
「バカ。そんなもんまで調べるか。見りゃ大体わかる」
「それにしたって……そんなことを堂々と言ってくるなんて、セクハラだからね!」
「勘違いするな。胸のあるなしで、似合う服も変わってくるから確認してるんだ。それに、下着も買うしな」
「ぐっ……。で、でもっ……でもっ……」
悔しいが二の句が継げない。
変に理屈が通っているところが腹立たしい。
「そんなことより、お前に伝えておくことがある」
「何よ」
「七咲瞬のことだ」
瞬間、心臓が跳ねた。
七咲君のこと?
一体なに?
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