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「特別な感情がある、って言ってたな」
「……うん」
「何を気まずそうにしてる。まるで、俺がお前に好意を持っているかのような反応だな」
「え? 違うの?」
つい、ポロリと漏らしてしまった。
「当たり前だ、バカ」
「……」
「だから、変な勘違いで俺に気を使ったりしないで、今後も七咲とは好きなだけ連絡を取れ。いいな」
「うん、わかった」どういうトーンで返答していいのかわからず、小声でぼそりと呟いた。
今の霧島尊流の言葉は、どっちなんだろう。
強がりなのか、本当に私に興味なんてないのか。
お得意のポーカーフェイスを決め込んでいるので、本心がまったく読めない。
「わぁ、すごっ……」
霧島尊流と滝沢さんに連れられ、表参道にある高級ブランドの旗艦店に入ると、中は浮世離れした空間と化していた。
見るからに高そうなバッグ、芸能人以外に誰が着るのかと思えるような派手な服、目の玉が飛び出るような金額が設定されているアクセサリー類など、ついこの前までの私とは無縁の物品がオシャレに陳列されている。
霧島尊流と滝沢さんは、早速服選びを始めた。
そこからは、まさに地獄だった……。
試着に次ぐ試着、白い手袋をはめた上品な店員への愛想笑い、高級店ゆえの常に気を抜けないプレッシャーなど、肉体的にも精神的にもどんどん疲弊していく。
2時間ほど、おとなしく着せ替え人形を演じていると、霧島尊流から待望の言葉が。
「まあ、こんなところか」
ようやく終わったらしい。
やっと解放される……。
ホッと安堵するも。
「よし、次行くぞ」
地獄は続くらしい。
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