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【第11話】
翌日の朝。
私は、ベッドから体を起こした状態のまま、昨日の出来事について整理することに必死だった。
お姫様抱っこ事件の後は、特に変わったことは起きず、ただ滝沢さんの運転する車で帰宅し、そのまま寝ただけ。
ちなみに車内では、誰も一切口を開かなかった。
いろいろ気になることはあるけれど、一番にまとめたいことは、尊流の意味深なセリフだ。
「お前はいつまでも変わらないんだな」
尊流は、確かにこう言った。
ということは、やっぱり私のことを昔から知っているんだ。
でも、どこで? どんな私を知っているの?
昨日のように、私が咄嗟に助けに入った人かとも思ったけど、尊流から「それは違う」と明確に否定された。
その否定が嘘である可能性もあるけど、どうなのだろう。
なんとなく掛け時計へと目をやる。
午前8時半過ぎだった。
昨日は午後10時半過ぎに寝たから、10時間以上寝ている計算になる。
肉体的にも精神的にも、かなり疲れていたのだろう。
でも、そろそろ起きないと。
家政婦の園田さんによる美味しい朝食にありつけなくなってしまう。
――ブルルルッ
立ち上がろうとした矢先、ベッドの上にある私のスマホが振動を始めた。
タイマーはかけていないから、誰かからの電話だろう。寧音かな?
スマホを手に取り、画面を見る。
そこには、意外な人物の名前が表示されていた。
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