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すぐに出る。
「も、もしもし!」
「おはよう、上田。今大丈夫?」
「もちろん! 急にどうしたの七咲君?」
「いや、特に急用ってわけじゃないんだけど、様子はどうかなぁと思ってさ」
「様子?」
「うん。だって、尊流のことは俺が紹介したようなもんじゃん? 偽装婚約生活で、上田が苦しい思いとかしてたら悪いと思ってさ」
ナチュラルに優しい!
尊流の秘した優しさについてもわかってはきたけど、こういうストレートな優しさもやっぱり心に沁みる。
「ありがとう、気にかけてくれて!」
「いやいや、当然のことだよ。――でさ、もしよかったら、今日一緒に公園にでも行かない?」
「えぇっ?」
「港区にある第四公園ってわかるかな。遊具とかはないけど、結構広めで、ピクニックに来てる家族が多い公園。今、上田たちが住んでいる家がどのへんなのかわからないから、めちゃ遠いかもしれないけど……」
「あ、多分そんなに遠くないと思う!」
一瞬、港区に住んでいることを口走りかけたが、尊流が七咲君に伝えていないということは言わない方がいいのだろう。
「そっか。んで、行けそう?」
「もちろん! 行けるよ!」
「おお、良かったぁ~。じゃあ、午後1時頃に公園の西口で待ってるから」
ここで少し、考え込んでしまった。
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