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そういえば、私は尊流と一応婚約中の身だ。勝手に七咲君と会ってもいいのだろうか?
――いや、尊流は自由にしろと言っていた。別に構わないはず。
「ん? どうしたの上田?」
「ごめん、なんでもない! 第四公園の西口に午後1時ね。了解!」
「うん、じゃあ待ってるね」
七咲君と待ち合わせ。
こんな僥倖が中学の時にあったら、どれだけ寧音に自慢していただろう。
でも今は、そこまで喜べない。
七咲君は、単に義理で私を誘ってくれているだけだろうから。
それでも、あの七咲君と二人っきりで会える。
その価値は、私にとってとてつもなく大きかった。
だけど……。尊流になんて言おう。
「七咲とも自由にしろ」みたいなこと言ってたけど、昨日のこともあるし……。
ん?
でも、昨日何か好意を示すような特別なことを言われたわけじゃないよね?
だったら、別に気にすることもないのか。
あとは、私の気持ち次第、ってことなのかな……。
うーん。
――よくわからない!
悶々としていると、ドアがノックされた。
「おはようございます、サクラさん。朝食のお時間ですが、どうしますか?」
「あ、はい! 今行きます!」
ベッドから降り、慌てて髪を整え、服を着替えた。
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