【第12話】

1/4

26人が本棚に入れています
本棚に追加
/93ページ

【第12話】

 マンションを出て、電車を乗り継ぎ第四公園の最寄り駅に着くと、12時50分だった。あと10分で、待ち合わせの時間だ。  この駅からだと、ちょうど徒歩10分ほどで第四公園に着く。  もちろん、今回の外出に車での送り迎えはない。  そんなもの頼めるわけがないし、滝沢さんから「送り迎えする」と言われても断っていただろう。  私用なのだから。 「……お待たせ」    10分ほど歩き、待ち合わせ場所である第四公園の西口に着くと、七咲君はすでに来ていた。  普段なら嬉しいはずの七咲君との待ち合わせ。  でも、先ほどの尊流とのやりとりを思い出すと気分は晴れず、弾んだ声も出せない。 「どうしたの? 元気ないね」  当然、七咲君もすぐに気付いた。 「ごめん、なんでもないの」 「……そっか。とりあえず、公園に入ろうよ。今日は天気もいいし、ベンチにでも座ってコレ食べようぜ」  コンビニで買ったと思われるお弁当が入ったビニール袋を見せながら、そう言った。
/93ページ

最初のコメントを投稿しよう!

26人が本棚に入れています
本棚に追加