26人が本棚に入れています
本棚に追加
/93ページ
【第12話】
マンションを出て、電車を乗り継ぎ第四公園の最寄り駅に着くと、12時50分だった。あと10分で、待ち合わせの時間だ。
この駅からだと、ちょうど徒歩10分ほどで第四公園に着く。
もちろん、今回の外出に車での送り迎えはない。
そんなもの頼めるわけがないし、滝沢さんから「送り迎えする」と言われても断っていただろう。
私用なのだから。
「……お待たせ」
10分ほど歩き、待ち合わせ場所である第四公園の西口に着くと、七咲君はすでに来ていた。
普段なら嬉しいはずの七咲君との待ち合わせ。
でも、先ほどの尊流とのやりとりを思い出すと気分は晴れず、弾んだ声も出せない。
「どうしたの? 元気ないね」
当然、七咲君もすぐに気付いた。
「ごめん、なんでもないの」
「……そっか。とりあえず、公園に入ろうよ。今日は天気もいいし、ベンチにでも座ってコレ食べようぜ」
コンビニで買ったと思われるお弁当が入ったビニール袋を見せながら、そう言った。
最初のコメントを投稿しよう!