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【第13話】
「西条……雫……さん」
「もちろん知ってるわよね?」
「はい……」
なんで、尊流の政略結婚の相手がこんなところに……。
何が起こってるの……?
っていうか、なんでこの公園にいるの? 偶然?
――いや、そんなわけがない。
多分、尊流と同棲しているマンションのことを知っていて、私を尾行してきたんだ。
当たり前のように、私の顔と名前も把握しているし。
そういえば尊流も、私のいろいろなことを知っていた。超が付く金持ちにとって、情報収集などお茶の子さいさいということか。
「あ、あの男の子は……」
西条雫から漏れ伝わってくる得体のしれない迫力に圧倒され、つい話を逸らす。
「親戚の子よ。あなたと話す機会をただ待っているのも退屈だったから、ついでにポイント稼いでおこうと思ってね。あの子の面倒みると喜ぶのよね、叔父様も叔母様も。当然、それを知ったお父様とお母様もね」
「そ、そうですか」
「ってか、今後勝手に話を逸らさないでね。主導権は常にあたし。わかった?」
「は、はい……」
「よろしい。――じゃあ早速だけど、尊流君とはもうヤった?」
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