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【第14話】
「どうしたの? さっきから顔色が悪いじゃん」
公園を出てからしばらくすると、七咲君が心配そうに訊ねてくれた。
「そういえばさっき、ベンチで女の人と喋ってなかった? 俺が戻ってきたくらいのタイミングで、その女の人は離れてったけど。あれと何か関係ある?」
西条雫のことは極秘。
滝沢さんからはそう伝えられていた。
いくら七咲君にも言うわけにはいかない。
理性ではそうわかっていたものの、心が安定しない。今にも西条雫の名前を出しそうになっている私がいる。すべてをぶちまけて、精神的に救われたいと思ってしまっている。
身に危険が及ぶ可能性まで示唆されていて、平常心でいられる方がおかしい。
でも、言えない。
自分が楽になるためだけに、極秘だと言われていることを漏らすわけにはいかない。
体が自然と震えそうになるけれど、両の拳をギュっと握り込み、無理やり抑え込んだ。
「その様子だと、やっぱり間違いなさそうだな」
七咲君が、私の肩に手を置いた。
いろんな意味でビクっとなった私。次の言葉を待つ。
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