【第15話】

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 とにもかくにも、尊流のたどたどしい説明に感動してしまい、私も本心を吐露することにした。 「私、尊流のことを『お金しか武器がない』なんて思ってないよ」 「そ、そうなのか……?」  尊流がやっとこちらを見た。  目と目を合わせ、真摯に伝える。 「うん。そりゃ、初対面の時はそれに近いことを思ってたけど、たった数日一緒にいただけでも、お金だけの人じゃないことは充分伝わってきた。私こそ、変な言い方してごめんね」 「あ、いや……」  貴重な『尊流氏の気まずそうな顔』第二章を見れたことで、私のテンションはさらに上がった。 「昨日、ハイキック一発で私を助けてくれた姿も、すごくカッコ良かったよ」  もちろん、これは本当のことだ。  ふと、あのシーンが頭に浮かんだのだ。 「……ふん」  いつもの仏頂面を作りながら、ようやくソファに着席した。  そんな姿を視界に入れながら、ふふ、と軽く笑った後に、ハッと思い出す。  そうだ。私は、尊流の家から出ていかなきゃいけないんだった。  じゃないと、西条雫からどんな攻撃を受けるかわからない。  七咲君とも、あれほど固く約束したんだった。  でも、言いづらい……。  せっかく良い感じで仲直りできたのに、このタイミングでどう切り出せばいいんだろう。  しかも、本心を言えば、今の尊流から離れたいとも思わない。  自然と、目線が下がる。
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