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七咲君を信じたい一心で、頭に浮かんだ可能性を口走る。
「で、でも! もしかしたら、西条雫がお金に物を言わせて、七咲君と私の電話を盗聴してたのかもっ! だから、第四公園に行く件も偽装婚約の件も知られちゃったんじゃないっ?」
「あのな……。携帯電話の盗聴なんて、基本的に不可能なんだよ。今の携帯電話ってのはすべてデジタル信号としてやりとりされてる。デジタル信号をアナログ信号に変換しないと、通話内容はわからない。それができるのは携帯電話会社だけだ」
「じゃあ、携帯電話会社を取り込めばできるってことだよね?」
「日本の大手キャリアをそう簡単に取り込めるわけがない。我が霧島グループでも無理だ。可能だとすれば、国家が介入した時くらいだろうな」
「そんな……。じゃあ本当に、あの七咲君が、西条雫とグル……?」
「状況証拠から鑑みて、繋がっていることはほぼ間違いない」
「でも七咲君は、小4以降は西条雫と会っていない、って言ってたよ……?」
「それが本当かどうかの証拠はどこにある?」
「……」
信じたくない。
あの七咲君が、西条雫と組んで私を嵌めようとしているなんて。
……でも、なんの目的で?
七咲君が西条雫と組むメリットは?
光明を見つけたかのごとく、尊流に激しく突っ込む。
「でもさ、七咲君が西条雫と組む意味がわからなくない? 七咲君になんのメリットがあるの?」
「……わからないのか?」
少し溜めてからの意味ありげな尊流のセリフに、思わず身構える。
「な、何……?」
「少しは頭を使え」
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