28人が本棚に入れています
本棚に追加
/93ページ
「今日はゆっくりできるって言ってたけど、夜までいてくれるの?」
尊流と住んでいるリビングと遜色ないほど豪華なリビングのソファに座ると同時に、寧音が訊ねてきた。
「うん。全然大丈夫だよ。大体、家が隣りなんだから、もし何かあってもすぐに戻れるし。深夜までだって平気だよ」
「ホントっ? やったぁー!」
両腕を突き上げ、わかりやすく喜びをアピールしてくれる寧音。
寂しかったんだろうな。
豪華な家に住めているとはいえ、ずっと一緒だった私と離れて暮らすのはストレスだろう。私だってそうだし。
「今日はいっぱい喋ろうね、寧音!」
「うん!」
「ほら、スイーツもいっぱい持ってきたよ」
家から持参した、洋風・和風が入り乱れた各種スイーツをテーブルに広げる。
「うわっ! 何これっ? すごっ!」
「家政婦の園田さんっていう人が、『持って行ってください』って渡してくれたんだ」
「そうなんだ? ホントすごい! どれもこれも、絵本に出てくるようなスイーツみたい。どこに売ってるんだろう」
その通りだ。
私も、中身は今はじめて見たけど、こんなに色とりどりで女子垂涎なラインナップになっているとは知らなかった。
「でもこれってさ、霧島尊流さんが手配してくれたんだよね?」
鋭いところを突いてくる。
そうなのだ。
園田さんの独断でこんなにも用意できるわけがない。
選んだのは美魔女の園田さんかもしれないけど、その指示を出したり、費用を負担したりしているのは間違いなく尊流だ。
「そう、なるよね」
「うわぁ、お姉ちゃん、もう尊流さんに愛されちゃってるんじゃない?」
「いやぁ、それはないかな」
「なんでよ?」
「愛されてる、なんていう熱量なんて微塵も感じないし。お金持ちのルールとして、手土産はゴージャスに、みたいな感じじゃない?」
「そうかなぁ?」
「まあいいからさ、食べようよ!」
強引に促し、昼食を兼ねた妹とのスイーツ大会がスタートした。
最初のコメントを投稿しよう!