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【第18話】
「おう、今帰ったのか」
寧音の家から帰宅すると、風呂上りの尊流とばったり遭遇してしまった。
すでに夜11時を過ぎている。
「あ、うん。ごめんね、遅くなって」
「謝ることはないだろ。ゆっくりしてこいと言ったはずだ」
「そうだけど……さすがに長居しすぎたかなって……」
「バカのくせにそんなこと気にするな。唯一の肉親だろうが。できるだけ顔を出してやれ」
相変わらず、無礼なんだか優しいんだかよくわからない男だ。
寝る準備を済ませ、リビングへ足を運んでみると、尊流がソファに座って紅茶を飲みながら寛いでいた。
よかった。まだ起きていたようだ。
オープンキッチンで自分用の紅茶を淹れていると、尊流が声を掛けてきた。
「何か用か?」
「いや、別に用ってわけでもないんだけど。――私もご一緒しようかな、と思って」
「……」
お馴染みの無表情なので、何を考えているのかはわからない。
でも、嫌そうにしている様子は感じられない。
私の独断と偏見による判断だけど。
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