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紅茶を持って、尊流の正面に座る。
「いやぁ、今日は本当に楽しかったよ」
「そうか」
……会話が終わってしまった。
もうちょっと場を温めてから伝えたかったけど、無理そうなので、本題に入ることにした。
「あのさ、ちょっといいかな」
「やっとか。さっさと言え」
さすが尊流。
何か言いたいことがあってリビングに来た、ということくらい、とっくにお察しの模様。
「今日、寧音にも相談してきたんだ。西条雫のこと。――あ! もちろん名前は出してないよ? ある令嬢、としか言ってないから」
「……で?」
「う、うん。――尊流は、七咲君が怪しいっていうけど、私としてはまだ信じられなくて。でも寧音に相談したら、寧音も七咲君のことを疑ってたの」
「だろうな。普通に考えればそうなる。昨日も言った通り、瞬とお前が第四公園で会うことを知っていたのは、お前たち二人だけなんだからな」
「でもね、寧音が言うには、もし七咲君じゃないとしたら……」
「――じゃないとしたら、誰なんだ?」
咄嗟に口を噤む。
まだ、この段階で言うべきことじゃない。
まずは、七咲君に会ってみてからだ。
もしかしたら、七咲君があっさり自白する、という可能性もあるのだから。――あって欲しくはないけど。
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