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一旦深呼吸してから、笑顔を作る。
「ううん、なんでもない!」
「……」
「でさ、何が真実なのか私の中でわからなくなっちゃってるから、こうなったら、もう一度七咲君に会って、確かめてこようと思うの」
「……まあ、いいんじゃないか。瞬の奴がどう言い逃れるのか、俺も少し興味がある」
尊流の中では、もはや疑っているというレベルではなく、西条雫との内通者は七咲君だと確定しているのだろう。
そんな言動に引っ張られ、私の中でもどんどん七咲君への疑念が深まっていく。
――いや、決めつけちゃ駄目だ。尊流が、私と七咲君の関係を壊そうとしている可能性だって残っている。
そんなことがあって欲しくはないけど……。
***
翌日の日曜日。
「休日だし、あんまり早いと寝てるかもしれないな」と思い、朝9時まで待ってから、七咲君へ電話をかけた。
すると、2コールほどで「もしもし、上田?」という弾んだ声が私の耳に飛び込んできた。
なんだか嬉しそうだ。
七咲君の明るいトーンに、つい顔がほころぶ。
「おはよう、七咲君! ごめんね、朝早くに」
「全然平気だよ。俺、休みの日でも7時とかに起きてるしさ」
ルックス同様、爽やかな生活リズムだ。
私なんて、休みがあれば極力寝ていたいタイプなのに。
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