28人が本棚に入れています
本棚に追加
/93ページ
「で、今日はどうしたの?」
「あ、そうそう。――あのさ、今日って時間あるかな? ちょっと会いたいな、と思って」
「マジでっ? いいね、会おうよ!」
もう一段階、七咲君のテンションが上がった気がする。
私も自然とテンションが上がる。
「ホントっ? 良かった~! じゃあ、前回と同じ第四公園に、お昼12時集合、とかでもいい?」
「もちろんいいよ! またコンビニで弁当買ってくから、一緒に食べようぜ」
あの楽しかった、公園でのコンビニ弁当デート。
いや、デートじゃないけど、またあんな素敵な時間が過ごせるのか。
胸の奥がほわぁっと温かくなってきた。
これが、幸せな気持ち、というやつだろうか。
***
具体的にどこで待ち合わせるかは決めていなかったものの、第四公園に到着すると、無意識のうちに前回のベンチへと足が向いた。
「あ、こっちこっち!」
まだ約束の時間の10分前なのに、すでに七咲君は来ていた。
しかも、例のベンチに座って待っている。
気持ちが通じ合っているのだろうか。
どこか尊流に対して申し訳ない気持ちを抱きながらも、嬉しさを抑えきれない。
なんで申し訳なく感じてしまうんだろう?
その理由は、自分でもはっきりとはわからなかった。
「ほら、今度は弁当を変えてみたんだ。チーズハンバーグ弁当と、豚の生姜焼き弁当。上田はどっちがいい?」
「うーん、チーズハンバーグかな」
「オッケー! 俺は生姜焼きの方が好きだったからちょうど良かったよ」
本当に生姜焼きが食べたかったんだろうか。
私がどっちを選んでも、残った方の弁当を食べたかった、ということにするつもりだったのではないだろうか。
……まずい。
七咲君のことをすべて肯定してしまう。
毎度のことだけど、彼の前にいると私は冷静な判断ができなくなる。
もはやこれは、七咲病だ。
最初のコメントを投稿しよう!