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それからは前回と同じように、ベンチに座ってお弁当を食べながら、時にぼーっと公園で遊ぶ人たちを眺めたり、また中学時代の話をしたりして楽しく過ごした。
お弁当も美味しい。
単なるコンビニ弁当なのに、七咲君というスパイスによって極上の味と化している。
本当にこの七咲君が、西条雫と繋がってる……?
そんな陰湿なことをするタイプにはとても見えない。
でも、私は確かめなければならない。
今日は、そのために来たのだから。
「ちょっといいかな」
お弁当を食べ終わり、しばらくまったりした後、私は勇気を振り絞って切り込んだ。
「ん? どした?」
朗らかな笑顔で問い返す七咲君。
駄目だ。目を見てしまうと、七咲君を疑うようなことなどとても言えそうにない。
視線を外し、何から話せばいいのか考える。
「あのね、その……。えっと……」
「どうしたんだよ? 上田らしくないじゃん。相談でも頼み事でも、何でも気軽に言ってよ」
「あ、ありがとう」
七咲君の方を見ないようにするため、公園で遊ぶ子供たちの方へ視線を逃がしながら、一度深呼吸してみる。
うん、少し落ち着いた。
どうせいつかは言わなきゃいけないんだから、覚悟を決めて早く言おう。
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