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【第19話】
「もしかして上田……俺のこと疑ってるっ? 俺が、雫をこの公園に呼んだと思ってるのっ?」
七咲君にしては珍しく大きな声だ。
怒っているというわけではなく、ただ単に驚きすぎて声が大きくなってしまった、という印象を受けた。
この反応を見る限り、やっぱり七咲君は何も知らないのではないか。それとも、演技なのだろうか。もう、なんだかよくわからない。
「なんとか言ってよ、上田」
いろいろ考えすぎて、何を言っていいかわからず黙り込んでしまう私。
チラリと七咲君の目を見る。
まっすぐだ。キラキラしてる。
こんな人が嘘を言っているとはとても思えない。
それに、私が知る限り、七咲君は陰でこそこそと暗躍するタイプじゃない。
本能に忠実な、ゆるふわ系の天然奔放タイプだ。
そう考えると……やっぱり違う! 七咲君のわけがないっ!
……と信じたい。確信までは持てないけど……。
「ご、ごめんなさい。私は、そんなわけないって思おうとしてるんだけど……」
疑いを拭いきれていない様子を悟られたのか、七咲君は、ふぅ、と一つ息を吐いた後、ベンチにもたれかかった。
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