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◆1.支援物資
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そのたくさんの荷を運んでいる人馬は、高州州都の強固な柵が巡らされている防衛線のそばまで来ていた。その出入口の一つに、人馬が近づいたとき、守備隊長が「どこの所属の者たちか?」と、尋ねた。
人馬の代表らしい者が出てきて叫んだ。
着飾ってはいないが、本当に事前に連絡があった通り女だった。
「高涼郡長官、馮寶が妻!
洗冷珠! 李遷士様への支援の品々を持って参りました!」
守備隊長は言った。
「今、開ける!」
関門関門が開かれて、隊長が夫人に近づいた。
「支援の品々、感謝いたす!」
「こちらこそ、門を開けて頂いて感謝する!!」
夫人が剣を抜くと、一斉に兵たちも剣を抜いた。
「敵しゅ……」
隊長は、声を上げる前に、夫人に斬り伏せられた。どっと、兵が突入し、一帯は、すぐに制圧された。
そばの者が「青原でのことを思い出しますな」と言った。
洗冷珠はちょっと顔を赤らめたが、すぐに真顔に戻る。
「うるさい! すぐに、州都に向かう! 目指すは李遷士の首だ!」
「おう!」
兵たちの声が響いた。
彼女と一千の兵は、防衛線を抜け、州都へ向かった。
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