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4.美子の両親
4.美子の両親
健一は再び美子の実家を訪れた。
健一は美子をロボットとして再現するため、生前の美子のビデオや写真を提供してもらいたいと懇願した。
山田博士が講演で使用したパンフレットも持参した。
「人型ロボットが亡くなった家族のかわりになり、心の癒しになる?」
美子の父は健一の持参したパンフレットをしばらく読んでいた。
「それで、ロボットの美子を作ろうというのか? 君は、亡くなった美子が本当に喜ぶと思うのか。君は機械と会話して、美子だと思えるのか」
父は倫理に外れた行為だと憤慨した。美子を亡くしたばかりで、心の整理がつくはずもない。
そこに、見も知らぬ青年が現れ、ロボットの娘を作りたいというのだ。
青年の事を何も知らない両親にとっては死者を汚すような話に聞こえたとしても不思議ではない。
健一は辛抱強く美子の実家を訪れ、美子 の父に説得を続けた。
健一は、まず自分を理解してもらうことが必要だと思った。
最終的に美子の父は条件つきで了承し、美子のアルバム、成長ビデオを健一に渡した。
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