タマのポケット

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「今のタマ?」 タマは黙って春香を見ている。 「夢か…。びっくりした。明日早いから起こさないでね」 そう言って再び横になろうとした時 「ポケット見たいんでしょ?」 「え⁈やっぱり喋ってる‼︎」 タマは白と茶色柄の何処にでもいる様な普通の猫で、子猫の時に近所で保護された所を引き取った。 「喋る猫は黒猫だけじゃないよ」 春香の戸惑いを分かっているかの様にタマは喋り続ける。 「春香さ、最近元気ないよね。帰ってくるといつもお酒臭いしさ、だから顔を向けたくないんだよ」 「ごめん…」 「あとさ、元気ないと僕まで元気なくなっちゃうからさ、春香には元気でいて欲しいんだ」 「そうなんだ。ごめんね…」 「そうゆうところだよ」 「え?」 「謝っちゃダメなの!すぐ謝るのは自分に自信がない証拠だよ」 猫に心の中を見透かされてしまった。 「僕のお腹を見てごらん」 「え、いつもお腹触ると怒るじゃない」 「そうだよ。守らなきゃいけないからね。でも今日は特別だからいいよ」 そう言うとタマはごろりと横になった。
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