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咄嗟に一之瀬から目を背けた私は、「ごめん……全然、覚えてない」と答えると、
「まあ、俺も飲めって煽って飲ませ過ぎたのは反省してるけどよ……お前、酔うと結構絡んでくるのな?」
ズボンを穿き終えた一之瀬はキッチンへと向かって行き、冷蔵庫からペットボトルを取り出すとキャップを開けながらそう口にした。
「そ、そうなの?」
「ああ。ありゃ面倒だ。あんまし酔っ払うまで飲まねぇ方がいいぞ。本條も水、飲む?」
「あ、うん……飲みたい。っていうか、どんな風になるの? 酔っ払うと……」
「すげぇ素直ってか、とにかく甘えてくるけど、何でもかんでもくっつこうとするのは……やめた方がいい。ほれ、ミネラルウォーター」
「あ、りがと……」
再びこちらへ戻って来た一之瀬からペットボトルを受け取り、キャップを開ける。
「……くっつくって……何?」
「外では俺が背負ってたからいいけど、家着くなり『ギュッてしてー』とか言って人に抱き着いてきた……」
「嘘!?」
「嘘じゃねぇよ。しかも自分からくっついて来たくせに、その後で『暑い~』って言いながら服脱ぎ始めるし……」
「う、嘘……」
一之瀬から酔っ払っていた時の状況を聞けば聞く程に耳を覆いたくなる。
(最悪……私、酔うとヤバい奴じゃん……)
普段酔うまで飲まないから全然知らなかったけど、こんなの外でやってたら大変なんて一言では片付けられない。
「……ご、ごめん……迷惑かけて……」
「いや、俺も飲ませ過ぎたし。本條っていつも酔わねぇから、平気だと思ってた」
「私も酔わないと思ってたよ……」
今の話から私が下着姿だった理由は分かったけれど、ベッドで眠っていた事と一之瀬までもが下着姿で同じベッドで眠っていた事の説明にはなっていないと気付く。
「あのさ、その……一之瀬は何で、下着姿で……同じベッドに、寝てた……の?」
やっぱりエッチをしてしまったのか、それが知りたい私は言葉を濁しながら核心に触れると、持っていたペットボトルをローテーブルの上に置いた一之瀬がニヤリと口角を上げながらこちらへ近付いてきた。
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