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プロローグ
「なぁーにが、『俺にはお前を幸せにできる自信が無くなったんだ……』よ! 二股掛けてた相手が妊娠したから別れようって言えば良いじゃない、ねぇ? そう思わない?」
ある金曜日の仕事終わり、駅前の居酒屋で悪態をつきながら、私は同期の一之瀬 丞と飲みに来ていた。
「まあ、そりゃそうだな。しかしお前、二股されてんの知ってて付き合ってた訳?」
「そんな訳無いじゃない? 振られた直後、女の方がSNSで教えてくれたのよ、わざわざね」
「マジか……そりゃまあ、相手の女もスゲェ奴だな」
「何も知らなかったのは私だけ。きっと一緒になって嘲笑ってたに決まってる! あー悔しい!」
私、本條 陽葵はつい先日、付き合ってもうすぐ一年になろうかという彼氏に別れを突き付けられた。
しかも、彼には私の他にも女が居て、相手の女が妊娠。そればかりか実は私の方が浮気相手だったという衝撃的な事実を知ったから驚きと怒りしか無い。
(……気付かなかった私も間抜けだけど)
彼は浮気が上手いのか、全くそんな素振りが無かったのだ。
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