椎名くんは笑わない 2nd

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「去年はどうやって笑ったんだっけ」 「忘れた。でも、おみくじを引いたような気がする」 「よし、引いてみるか」  椎名くんは本堂へお参りに行く前におみくじ売り場の方へ足を向ける。私も仕方がないからついていって、一緒におみくじを引いた。  去年はたしか、二人とも大吉でも大凶でもない吉あたりでガッカリしたよな。  今年は受験もあるから大吉を引きたいところ。  木で出来たみくじ箱をカラカラと振り、中から割り箸よりも細い棒が一本だけ降りてくる。その先に書かれた番号と同じ番号の棚からおみくじをもらう仕組みだ。  もらった紙をせーので見てみる。 「出た、ドン! 吉!」 「あっ。私は大吉だ。やったー」 「…………」 「…………」 「…………凶は?」  やっぱり今年も凶をお望みか。今年は本当に笑えなくなるぞ、椎名くん!
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